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トップ移住者インタビュー“四国のへそ”が目指す柔軟な地域の在り方。

移住者インタビュー

“四国のへそ”が目指す柔軟な地域の在り方。

元木香織さん

元木香織さん

 特定非営利活動法人(NPO)マチトソラ

取材年月:2016年3月

平野部と山間部、両方の魅力を併せ持ち、土地に根ざした暮らしが息づく三好市。『うだつマルシェ』で知られる特定非営利活動法人(NPO)マチトソラの元木香織さんは、この地域で行政と連携しながら移住者支援に注力しています。

地域を舞台に外から人を呼び込んでくる。

“四国のへそ”とも呼ばれている三好市とは、どのような地域なのでしょうか。

三好市の町並み

元木さん:四国のほぼ中央に位置している三好市は、四国で一番広い面積を持つ自治体です。交通の要衝として栄えた歴史を持ち、たばこの加工と販売で栄えた平地の阿波池田を“マチ”、祖谷や大歩危・小歩危のような山間部を“ソラ”と呼び、それぞれの地域で少しずつ異なる文化を育んできた興味深い地域でもあります。それぞれの場所で土地に根ざした個性ある暮らしが連綿と続けられてきた一方、近年では過疎化と少子高齢化が大きな悩みの一つです。

「マチトソラ」という名称は、まさに三好市という地域を体現しているのですね。

三好市の風景

元木さん:そうですね。三好市という広大な地域すべてを含むネーミングです(笑)。特定非営利活動法人(NPO)マチトソラがスタートしたのは2012年ですから、今年で4年目を迎えたばかりなんです。もともとは地域おこし協力隊の活動がベースだった経緯もあり、私たちの活動は地域の発展を目的とした『うだつマルシェ』や『マチトソラ芸術祭』といった地域を舞台とし「外から人を呼び込んでくる」イベント事業が主な内容となっています。

確かに最近では三好市といえば『うだつマルシェ』のイメージが強い気がします。

うだつマルシェ

元木さん:有り難うございます。『うだつマルシェ』は2011年から始まったイベントですが、最初は私たちの活動拠点である「スペースきせる」の1階を使った小さなマーケットだったんですよ。それが14回目を迎えた今では、100組を超える申し込みがあり、約5,000人の来場者が集まる一大イベントに成長しました。古いうだつの残る町並みの中で、四国中のハンドメイド作家さんや農家さんたちが、一人ひとり異なるものを販売するという三好市ならでは催しです。県内外から訪れる20代から30代の家族連れの方々から好評をいただいています。

外から来た人の視点が魅力を再発見する。

地域の魅力を掘り起こすための活動には、ほかにどんなものがあるのでしょうか。

マチトソラ芸術祭

元木さん:たとえば『マチトソラ芸術祭』では、三好市の“マチ”と“ソラ”に点在する古民家などをギャラリーに見立て、現代アートの展示やワークショップなどを行っています。地域の食材を使って“風土”と“food”を融合させた食のモザイクアート「foodscape!」をつくる取り組みなどが記憶に新しいところですね。それから、三好市をはじめ、四国四県の土地に根ざした暮らしをしている方々に教師となってもらう『マチソラ学校』や山間部の生活の知恵を次世代に継承していく『伝える暮らしワークショップ』などが定期的に行っている活動です。

こうした活動によって三好市へ移住を希望される方も増えてきているのですね。

元木香織さん

元木さん:少しずつではありますが、着実に移住者は増えてきています。移住支援団体としての私たちの役割は、まず『うだつマルシェ』や『マチトソラ芸術祭』などで三好市に興味のある方を増やすというきっかけづくりを行い、希望者を見つけたときには自治体の移住窓口へつなげるというもの。普段からお互いに協力する体制ができているので、移住を考えている方々の現地見学のコーディネートなども連携して行っているんですよ。もちろん、移住した後の生活のサポートなどについても、マチトソラと行政が一緒になって実施していきます。

実際に移住者が増えることによって、地域にどのような変化が生まれましたか。

ハレとケデザイン舎

元木さん:外から来た人たちが生き生きと活動している様子を見て、地元の人たちの意識も変わってきたように思います。たとえば、廃校になった旧出合小学校でハレとケデザイン舎とハレとケ珈琲を営む植本さんの活動に影響を受け、パン屋さんを開業する方が出てくるなど、自分たちも「やりたいことをやってみよう」と挑戦する人が出てきたのは嬉しい変化ですね。私自身、関西圏からのUターンなんですが、以前に比べると大小さまざまの面白いイベントがびっくりするほど増えたので、いつの間にか神戸などへ出向くことがなくなりました(笑)。

なるほど。移住者の活動が地元の方々にも影響を与えているということですね。

三好市サテライトオフィス

元木さん:また、三好市という地域の魅力を外から来た人が発見するという意味においては、個人的にアレックス・カー氏の存在と活動も大きいと思うんですよ。築300年の茅葺屋根の古民家「篪庵」に拠点を置き、日本の美しい田舎の風景の保全と過疎地の再生を目指す特定非営利活動法人(NPO)篪庵トラストの理事長ですね。彼は何十年も前から“ソラ”に惚れ込んでおり、日本国内はもとより海外へも東祖谷の素晴らしさを発信しています。篪庵トラストのスタッフも移住者が多く、私たちマチトソラや地元の人々とも深い交流があるんです。それから、行政が推進している取り組みとして忘れてはならないのがサテライトオフィスの誘致です。2013年に旧政海旅館に東京の企業である「あしたのチーム」の進出を皮切りに、現在では5社がサテライトオフィスを開設。地元で雇用が生まれる効果があるほか、移住者にも働く場所を提供できるという考え方に立つと、今後はもっと意味が出てくるのではないかと思っています。

「地域の課題」を「自分の問題」に。

これからマチトソラが解決していきたいと考える課題について教えてください。

うだつマルシェ

元木さん:そうですね…。移住者をサポートする面でいえば、三好市にはさまざまな組織や団体があるんですが、それぞれが個別に活動しているため、もっと密に連携していくことができれば、さらに面白いことができるのではと考えています。ただ、やっぱり若者が少ないんですね。『うだつマルシェ』や『マチトソラ芸術祭』などの運営でも、特定の人の負担が大きくなる傾向があるので、どうにか解決していきたいところです。おかげさまで『うだつマルシェ』に外側から来てくれる人は増えましたが、これからは内側である地元の人をさらに巻き込んでいく努力が必要な段階なのかもしれません。いわば「他人事」ではなく「自分事」と思ってもらう活動にもっと力を注いでいきたいですね。

最後に徳島県への移住を考えている人へのメッセージをお願いします。

元木香織さん

元木さん:徳島県と一言で言っても、その中にはさまざまな個性を持った地域があります。三好市だけでも、新しいものが好きで地名に「マチ」や「サラダ」とつけてしまう池田、アイディア自慢で活発な大歩危、落ち着いた雰囲気の祖谷など、土地によって住んでいる人たちの気性や文化は千差万別です。まずは足を運んで自分に合った場所を見つけてほしいと思います。その中で三好市を気に入ってくれたら、いろいろな活動で一緒に毎日を楽しんでいくことができるでしょう。2017年には三好市の大歩危を含む吉野川上流域でラフティングの世界大会が開催されます。ぜひ一度、私たちの暮らす“マチ”と“ソラ”へ足を運んでみてください。

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