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移住ブログ

「移住」④ 生活へのサポート態勢は? 徳島県庁の担当者に聞いた

 移住希望者にとって、仕事と同様に心配なのが「生活」だろう。希望するタイプの住居が確保できるのか、買い物や教育は、そして地域のコミュニティーにうまく溶け込めるか――。移住を受け入れる側のサポート態勢などについて、徳島県庁の担当者に取材した。
 
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徳島市の中心市街地にあるヨットハーバー。
県庁(右手)の前にあることから「ケンチョピア」と呼ばれる
 

■コーディネーターがきめ細かく対応

 徳島県で移住(希望)者に対する生活支援の中心になるのは「とくしま移住コーディネーター」だ。
 「移住者と地域住民の交流を後押しするとともに、移住者からの相談や要望に応えるのが主な役割です」
 県庁の地方創生推進課で「移住交流」を担当する久次米(くじめ)しのぶ・課長補佐が説明してくれた。

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徳島県庁で「移住交流」を担当する地方創生推進課の長谷川尚洋課長(右)と久次米しのぶ課長補佐(左)

 具体的には、行事や習慣など地域の情報を移住者に伝えたり、行政とのつなぎ役になったり、移住者の悩みやトラブルの解決にあたったりするという。
 2017年度から県独自の取り組みとして、全国でも珍しい認定制度を設けた。県の研修や講座を受けたうえで、市町村の推薦を得るのが条件だ。
 コーディネーターは現在、県内13市町村にいる。各自治体のほか、地域おこし団体や観光協会といった「移住支援団体」に所属しているケースがあり、移住希望者の視察の段階からかかわって、仕事や住居の紹介、移住後のフォローと、希望に応じて幅広く、きめ細かく対応する。
 コーディネーターがいる自治体は、移住者が増える傾向にあるそうだ。県は今年度から、認定の対象を民間企業の人事担当者らにも広げる。

■移住者同士の交流会を開催

 県は毎年、「移住者交流会」も開いている。移住者ならではの悩みを相談しあうなど、ヨコのつながりを築いてもらうのが目的だ。受け入れた側の行政や地域住民も出席し、移住者に要望を出してもらう場にもなっている。
 17年度はソバ打ち体験やイチゴ狩りとセットにして、県内の3圏域ごとに開催。家族連れを中心に計約90人の移住者が参加した。
 各市町村も、生活に関連する移住促進策を打ち出している。
 美馬市や神山町などは、移住者を対象にした空き家リフォームへの補助制度を設けている。移住希望者に「お試し住宅」を提供したり、その利用経費の一部を助成したりする自治体もある。移住者に限らないが、板野町は保育所と幼稚園の保育料が全員無料。子どもの医療費が18歳まで無料の自治体も増えている(市町村別支援制度一覧)
 さまざまな取り組みが奏功して、17年度の徳島県外から県内への移住者は計1200人(836世帯)と、前年より42.5%増えた。2年前に比べると、ほぼ2倍だ。
 市町村別で最も移住者が多かったのは、阿南市の235人(前年118人)。次いで北島町の140人(同52人)、三好市の138人(同119人)の順だった。移住前の居住地をみると、大阪府(201人)が最も多く、東京都(122人)、兵庫県と香川県(各105人)が続いた。

■効果が大きい体験ツアー

 移住希望者が県内でスムーズに生活を始めるきっかけにしようと、県は非常勤の「地方創生推進員」として県庁などで勤務してもらう制度を置いている。全国でも珍しい仕組みで、現在23人が在籍する。
 1日5時間45分以内、月20日以内の勤務で、日給7000円程度。最長5年の間に、定住を前提にした仕事を見つけてもらう。県は地方創生推進員を対象にした県内企業へのインターンシップ制度をつくり、仕事探しを支援している。
 移住希望者の掘り起こしにも力を入れる。
 県は17年度、「移住体験ツアー」を4回実施した。それぞれ伝統産業、農業、起業、住民活動をテーマに据え、各回3自治体の視察と宿泊、地域住民や先輩移住者との交流を採り入れた。計61人の参加者の中から、Iターンを中心に4世帯10人が移住した。
 「参加費は各回5000~8000円ですが、徳島までの交通費は自己負担なので、本気度の高い参加者が多いですね。地域の人と話すと生活の様子がわかって、気持ちが固まっていくようです。今年度は大阪からのバスツアーを計画しています」(久次米さん)
 若者のUターン促進も重点事項だ。8月10~11日には東京から徳島へ向かうフェリーの船上で、県出身学生を対象にした「とくしま回帰洋上セミナー」を開く。
 徳島に縁のある映画監督やまちづくりリーダーらの話を聞きながら、郷里の未来について考える企画だ。参加費は、乗船や交流会を含めて5000円。気軽に帰省できる機会を用意して、Uターンへの意識を高めてもらう。

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 徳島県は来年度、1600人の移住を目標にしている。まだ県外への転出者の方が多いが、20年度には転入者と転出者の数を均衡させたい、としている。
 

ライター・小石勝朗

「移住」③ 仕事探しのポイントは? とくしまジョブステーションを訪ねた

 移住希望者の大きな関心事は「仕事」だろう。起業や農林漁業が目的ならばともかく、企業などへの就労を考えている場合は、移住先にどんな仕事があるのか、給与などの待遇がどうなのかは、重要な要素に違いない。徳島県がUIJターンの就労希望者向けに開設している「とくしまジョブステーション」を訪ね、仕事探しのプロセスやポイントを聞いた。

■求人は多いがミスマッチも

 「徳島県内の今年4月の有効求人倍率(季節調整値)は1.46倍で、過去最高でした。人手不足を訴える県内の企業は増えています」
 JR徳島駅に直結するビルの5階にあるジョブステーションは、無料の職業紹介事業者という位置づけだ。職業相談主任の白濱徹さんと職業相談員の山下武志さんが、最近の県内の雇用情勢を説明してくれた。

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  「とくしまジョブステーション」は徳島駅ビルの5階にある。
 職業相談主任の白濱徹さん(右)と職業相談員の山下武志さん(左)

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百貨店などが立地するJR徳島駅前。後ろは徳島市のシンボル「眉山」


 ただ、UIJターンには、少し違う傾向があるという。
 「UターンやIターンの就職希望者の場合、『今すぐに』というよりは『少し時間をかけて』というケースが多い。なるべく早く必要な人材を確保したい企業側の希望と、必ずしもマッチしない部分はあります」(山下さん)
 求人と求職が合致しにくい原因は、ほかにもある。ジョブステーションがまとめた今年4月時点の「統計情報」から、こんな特徴が浮き彫りになる。
 企業からの求人のほぼ半数を「専門的・技術的職業」が占める。例えば、看護師、薬剤師、プログラマー、生産技術管理、設計、商品開発などだ。資格や経験が必要になると、求職者とマッチングしにくくなる。
 2人は移住希望者に対し、「即戦力を求める企業が多いので、自分のセールスポイントをしっかり意識することが就職を決める第一歩です」とアドバイスする。
 もう1つは、給与だ。UIJターンで仕事を探す側の希望は月額20万~35万円が多いが、企業側の条件では15万~25万円が8割を占める。その差が、マッチングの障害になっている。
 

■専用サイトを通じて面接を設定

 対策として徳島県が2016年度から設けているのが、UIJターンを対象にした就職支援情報サイト「ジョブナビとくしま」(https://jobnavi-tokushima.jp/)だ。
 UIJターンの求職者と採用を希望する企業が、それぞれ事前に登録。移住希望者は企業の求人情報を、企業は移住希望者(匿名、登録番号)の情報を、それぞれ閲覧できる。これは、という企業や移住希望者が見つかった場合、面接をリクエストすればジョブステーションが仲介し、日時や場所を調整してくれる。
 ウェブを利用することで、移住希望者にとっては徳島まで行かなくても24時間いつでも情報を収集できるメリットがある。企業は200社近くが登録し、常に350~400人ほどを募集しているという。
 「このサイトに登録している企業は、移住希望者を受け入れる意欲がある、とみていいと思います」(白濱さん)
 一方、2017年度に登録した移住希望者は約60人。このうち15人が県内に就職した。登録している移住希望者の居住地は、東京都と周辺3県の首都圏、大阪府や兵庫県などの関西圏が、それぞれ約4割。年代では、30代が3分の1で、20代と40代がそれぞれ2割強だ。
 

■仕事探しは公的機関を中心に

 「地方にも民間の職業紹介機関はありますが、ハローワークなどの公的機関の方が利用者が多い。私たちも企業を回ってUIJターンの求人の開拓に努めていますので、ぜひ活用してください」(山下さん)
 ジョブナビに登録した求職者には半年ごとにメールを送り、移住時期のめどを確認するなど、マッチングが進むように留意しているという。
 ジョブステーションには、県の移住相談窓口「とくしま移住・交流促進センター」が同居しており、隣はハローワークだ。仕事や住居などの相談に一体的に応えてくれる。県内を観光で訪れた帰りに、家族連れで立ち寄る人もいるそうだ。

とくしまジョブステーション TEL088-625-3190
ライター・小石勝朗

 

 

 

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